わたつ海のふかきに沈(しづ)むいさりせでたもつかひあるのりを求めよ 寂然法師

わたつ海のふかきに沈(しづ)むいさりせでたもつかひあるのりを求めよ

 寂然法師

 十戒歌よみ侍りけるに、不殺生戒(ふせつしやうかい)

 新古今和歌集 巻第二十 釈教歌 1961

「生死の苦海で、深い罪に沈むこととなる漁(いさ)りはしないで、保つ甲斐のある仏法を求めなさい。」『新日本古典文学大系 11』p.571

唯心房集、初句「わたつみの」、三句「あさりせで」。

十戒 梵網経などに説く大乗の十重禁戒。してはならない十の戒め。

不殺生戒 生きものを殺すことを禁ずる戒め。

わたつ海 唯心房集「わたつみ」は、「罪」と掛詞。

かひ 「甲斐」と「貝」との掛詞。

のり 「法」と「海苔」との掛詞。

「貝」「海苔」は「わたつ海」「いさり」の縁語。

漁業を殺生の所業と見て嘆いた歌は多い。

寂然(じゃくぜん 生没年未詳)平安時代末期の官人・歌人。俗名は藤原頼業(よりなり)。号は唯心房。妹は藤原俊成の妻。

千載集初出。新古今十四首。勅撰入集四十九首。

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