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いってらっしゃい

朝8時。

隣の家の子が、小学校に登校する。

家の前に立って、見送るのはおばあちゃんの役目だ。

道は、100mくらい先までまっすぐ伸びている。

その間、彼は何度も何度も振り返り手を振り、全力で叫ぶ。

「行ってきまーす!お仕事がんばってねー!」

私の家は道から一軒奥まっているが、二階にいると声は彼がやめるまでずっと聞こえる。

繰り返し繰り返し、彼は叫ぶ。

「行ってきまーす!お仕事がんばってねー!」

数歩行っては振り返り叫ぶ。

「行ってきまーす!お仕事がんばってねー!」

おばあちゃんは、特に声を張らずに「気を付けてね」と言ったり、

黙って手を振ったりしている。

道が少し曲がって、孫の姿が見えなくなるまで、毎日見送っている。

100mの間に何度言うだろう。

たぶん、近所中の大人が、「よし、お仕事がんばろう。」と思ってるんじゃないかな。

春の雨音にも負けず、聞こえてくる。