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【旅】カニ食べに行こう《八》清水寺 その2

人の家なのか店なのか判らないけど、何だか絵になる光景。

こういうのがポロポロ見れるってのは、やっぱり京都ってスゴいな。

さて、俺が清水寺を初めて知ったのは小松左京の『日本沈没』って映画。大きな地震で崩れ落ちるシーンでだ。

櫓のような足場で急斜面に建つその姿に驚いたのは言うまでもない。

『こんなお寺本当にあるの?』と母に訊いたのを覚えてる。

『実際に京都にあるお寺だ』と言われ、相当古い建物であろうことは子供心に予想できたから、

『昔の人ってすげ〜な』と素直に感動した。

そして人に聞いたり本を読んで『清水の舞台から飛び降りる』とか、『下を見ると吸い込まれそう』なんて逸話を知るにつれ、当時の俺にとって行ってみたいNo1の場所とあった。

なので、数年後の中学の修学旅行が京都で、予定表に清水寺の文字を見つけた時は小躍りして喜んだものだ。

遂にあの場所に立てるのか。一体どれくらい高いんだろう?本当に目が眩んじゃったりしてな。

修学旅行では二条城とか金閣寺とか色々行ったはずだが、俺の興味はただ1つ。遂に一行は清水寺に向かった。

バスを降りた我々中学生は、ワイワイガヤガヤと坂道を登り、境内へ。

胸の高鳴りを抑え切れない俺は列を離れてグループの先頭を歩き、引率の先生を追い越こして何度も注意された。しかし階段を見るともはや我慢できず、全速力で駆け上がった。その先に本堂とおぼしき建物が見える。

『あれがそうか?』

後ろからは『トイレ行きたい者は今のうちに行っておきなさぁ〜い』などと呑気な声が聞こえて来る。

もはや愚鈍な民衆と歩調を合わせてる場合では無い。俺はロケットのように飛び出した。

早くあそこへ!早くあそこから下を覗くんだ!

清水の舞台は数m先で終わっており、その向こうには立ち並ぶ大木。遠目にも、今いる場所が相当な高さであろうことは予見できた。

あのヘリまで行けば下界が見渡せる。緩やかに傾斜している床に、小走りだった俺の足が更に加速する。これじゃ本当に清水の舞台から飛び降りてしまうぞ慌ててスピードを落とし、もつれるようにして欄干に捕まった。そして、それと同時に下を覗き込む。

『え…』

俺は愕然とした。

『大して高くないジャン…』

この後、旅先や観光地で数限りないガッカリを体験する俺だが、思い起こせばこれが人生最初のガッカリだったな。