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「くらべる東西」(東京書籍)

土曜時代劇みをつくし料理帖』、期待通りの好スタート。

主役の黒木華さんと、種市役の小日向さんのやりとりがとても良くて、

すらっと劇中世界に入ることが出来た。

全8回ということは、どのあたりまで描くのかな。

原作では次から次へと難事が降りかかり、大変ドラマティックだけれど、

ドラマ初回を見た限りでは、軽やかな滑り出し。

お料理も本当に美味しそう。来週は「とろとろ茶碗蒸し」だ。楽しみ!

ドラマが始まる前に、改めて原作を全部読み返してみたが、

やっぱり面白くて、はらはらどきどきしながら読み耽ってしまう。

澪がなじんだ上方の食材や味付けが、

最初は江戸っ子たちに受け入れられなくて、

しばしば落ち込む姿に、やきもき。

白味噌と醤油。昆布出汁と鰹節の出汁。ところ変われば品変わる。

人間、生まれ育った地での味は身体に染み込んでいるものなあ、

と思っている時に、図書館で偶然この本を見つけた。

・『くらべる東西』(東京書籍 2016年)

おかべ たかし (著) 山出 高士 (写真)

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%B9%E3%82%8B%E6%9D%B1%E8%A5%BF-%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%81%B9-%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%97/dp/4487810337

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本書は「いなり寿司」や「銭湯」など

34組の「東(主に関東)と西(主に関西)の文化・風俗の違いを」を

解説した本です。

今までもこういった「東と西の違い」をくらべる本はありましたが、

そのほとんどは文字による情報のみでした。

しかし本書では、そのすべてを写真にとってくらべ、

違いを一目瞭然にしたところに大きな特徴があります。

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(『くらべる東西』「はじめに」より)

見開きで見比べられる各々の特徴に、めくるごとに感嘆。

写真も解説文も、本当に的を得て効果的なのだ。

たとえば「ちらし寿司」では、

お江戸の寿司が魚介を生で使うのに対し、

上方は素材にはすべて火を通している。

澪が作った「温寿司(ぬくずし)」を思い出した。

私は本州の一番西側で生まれ育ち、

長じて後、東京に職を得て暮らしている。

最初の頃はやはり色々カルチャーショックを受けた。

今は東京で暮らした年月の方が長くなっているけれど、

最初に覚えた味と形は、生涯忘れないもの。

「いなり寿司」は俵型ではなく、三角だったし、

「桜餅」はクレープ状のものなんかじゃなくて、

桜色に染まった米粒がつぶつぶしている道明寺だ。

(西ではこれこそ唯一の「桜餅」だから、

わざわざ「道明寺」とは呼ばない)

東京で「ぜんざい」を注文したら汁気がなくて本当に吃驚した。

西ではこしあんの汁が「お汁粉」で、粒あんの汁が「ぜんざい」。

汁気は必須なのに。

七味唐辛子は、東は唐辛子の赤が目立つけれど、

西では山椒が多くて色合いがかなり違う。

逆に、故郷では銭湯に入ったことはなく、

なじんだのは東京に来てからだから、

湯船が真ん中にある関西風銭湯はあとで知って吃驚した。

ゆで卵ではなく卵焼きを挟む西の卵サンドも知らなかったなあ。

ねこのしっぽや卵焼き器が東西で違うなんてのも初めて知った。

「金封」のかたちまで違うとは。

その形状の違いは”風呂敷文化”である西と、

”手拭文化”である東の文化に拠るものだとか。

眼から鱗が落ちるような発見がたくさんで、

あちこち眺めては楽しめる。

昨年出版の本だけれど、『みをつくし料理帖』の放映の頃に、

偶然見つけたのはタイムリー。出会えて良かった。