破裏拳ポリマーを見た!

 やっとこさ実写版の破裏拳ポリマーを見てきました。元々気になってたタイトルなのと、映画公開記念でニコ生でアニメ全話一挙放送を全部見てたので、もう予習バッチシのテンションMAX。そんでもってアニメも映画も面白かったので、双方の簡単な紹介や比較をば。

●アニメ版

 タツノコヒーローもの。当時ブルース・リーカンフー映画ブーム直後で、さっそくそれを取り入れた意欲作(主人公の顔がまんま)。なお時系列で言うと前年度にガッチャマンテッカマンといったシリアス・アクションヒーローものがあり、ポリマー後にギャグ全開のタイムボカンシリーズが始まるらしく、本作はその中間でコメディ調のアクションものという不思議な構成になっています。

 舞台はアメホン国というアメリカと日本を足して割ったような不思議な世界。そこで日本ともアメリカとも付かないような独特の人々が住んでおり、毎週どっからか現れる悪の組織が犯罪を犯し、それを私立探偵の車さん(銭形のとっつあんにLAKを全振りしたようなおっさん)と探偵助手の鎧タケシくん(ポリマーの中の人、強くて賢いが普段は道化を演じている)が警察にちょっかいを入れつつ捜査し、最終的にはポリマーが大暴れして解決というもの。Aパートの捜査とBパートのアクションの2部構成で、パターンものながらテンポ良く見れるのが面白いです。

 そして本作で語り草となるのが「週替わりで登場する敵組織」で、これはなんと全26話、一部前後編はありますがとりあえず26の敵組織(ボス・メカ・一般戦闘員)が使い捨てのように現れ、派手に悪事を働いた後にポリマーに壊滅させられます。多少のネタ被りこそ戦闘員のコスチュームなどは毎回バラバラで、武器も手に持ってる銃だったりコスチュームの固定武装だったりとワンオフ仕様です。しかもこの世界の警察はライフル銃やら戦車、果てはミサイル戦車などの装備をしているのですが、そんな武装警察を一蹴できるぐらいの戦闘力を持っています。ぶっちゃけいつ世界征服されてもおかしくないレベルです。

 で、そんな敵組織を打ち倒すポリマーも相当の化け物です。彼は「破裏拳(はりけん)流」という独自の拳法を使いますが、これは「相手の裏を破る拳」という意味が込められており、自由な発想のもとで放たれるケンカ殺法で戦闘員をボコボコにしまくります。

 普通、この手の一体多数アクションは、無双シリーズよろしくワンパンや広範囲攻撃(サイフラッシュやメガクラッシュなど)で大群を薙ぎ払うのがセオリーですが、ポリマーはどちらかというと昔懐かしいファイナルファイト型で、雑魚1体1体を丁寧に倒す……というより執拗に攻めるのが基本です。鳩尾5回ぐらい殴った後に金的入れたり、相手をヘッドロックして頭にエルボー3回ぐらい入れたり、ハイキック3発入れたあとに蹴り飛ばしたり、ついでに飛んで行って壁にぶつかった敵にダメ押しで蹴りを入れてめり込ませたりと、笑っちゃうぐらいの残虐ファイトを繰り広げます。効果音が「グキリ」とか「ボキャ」など痛そうなのもGOOD。

 また、後にKOFで紅丸に使われる各種必殺技もありますが、面白いことに技の型が決まっておらず、毎回予想だにもしない形で発動します。とりあえずザッと説明すると、

「真空片手独楽」…片手を着いた状態で回転攻撃をする。回し蹴りだったり投げだったり。

「反動三段蹴り」…三回の反動で蹴りをする。2回壁キックしてから飛び蹴りだったり、相手に連続三回蹴り入れたり。

「幻影破裏拳」…最大級の必殺技で分身攻撃を仕掛ける。とはいえ2人3人ではなく10人以上とかめっちゃ出す。そのままタコ殴りにするのが定石。これを超必でうまく再現したSNKはエライ。

 といったところです。ヒーローアニメで必殺技の型が決まってないというのは現在から見てもかなりレアなケースで、また「破裏拳流」の実戦的な部分を見せる最高の演出とも取れます。今見ても純粋にカッコいいぞ!

 あとはコメディ調の捜査パートも、意外とギャグがキレッキレで、しょうもないけどテンポ抜群のやり取りに笑わせられます。探偵局長の車のおっさんが絵にかいたような無能なんだけどあまり憎めなかったり、毎回しれっと警察署に主人公が盗聴マイクを仕掛けに行ったりと突っ込み所満載。ヒロインのテルちゃんも悪だくみしない峰不二子って感じで、妙な色気と可愛さがあっていいのよ。

 と、今見ても光るものがある一方で、同じパターンの話が26話も続くので、面白いっちゃ面白いけど今一気見するにはちょっとしんどいアニメなので、興味のある方は1日1話ペースでちみちみ消化すると良いでしょう。ちなみに重要な話(ポリマーの謎、主人公の身の上話、シリアス回など)は最終話含めて3〜4話ぐらいしかないので、ぶっちゃけ途中飛ばしても問題なかったりするぞ。

●実写版

 アニメを見ていると無謀にも思えてくる実写版。実際、ハチャメチャなアニメの設定はほぼ再現不可能で、色々とアレンジされたオリジナル色の強い作品となってました。

【主な変更点】

・舞台はアメホン国から日本へ。

・主人公が礼儀正しい好青年からアウトローストリートファイターに。

・車のおっさんは駆け出しの若い刑事に。

・犬(ポリマーの正体を唯一知る視聴者の代弁キャラ)は削除。

・ポリマースーツの用途(アニメ版の博士の作った未知のアイテムから、警察のパワードスーツみたいな扱いに)。

・ポリマースーツの性能の変化(原作はせいぜい防御力と変身機能だけ)。

 と、実写化するにあたって無理のない設定に変わっていて、厳しい言い方をすれば「ポリマーを原作としたオリジナルアクション映画」と言ってもいいかもしれません。また、コメディ調だったアニメ版と比べると、ギャグシーンは少々ありますが全体的にシリアスな話になっています。

 かといって、本作が「コレジャナイ感」満載の作品かと言われるとそうではなく、アニメの要素や魅力をうまく抽出させて、それでいて単独作品としてうまくまとめてあって、主演俳優(溝端淳平)目当てに来た若いファンの方も満足できる作品になっていたのではないかと思います。

【ここに注目!】

●本格的な殺陣。

ジャッキー・チェン映画を少し遅くして打撃を重めにした感じ。意外だったのは主役以外のサブキャラ(車刑事、テルちゃん)もしっかり格闘戦をこなしており、車刑事なら関節を極める逮捕術のような戦い方を、テルちゃんならコミカルに身振り手振りしながらもきっちり敵の攻撃をいなして反撃する戦い方をする。見ごたえあり。

→もちろんポリマー転身後のアクションも派手なもので、「ポリマー対一般人(馬力に差があり過ぎて簡単に吹っ飛ばされる、一撃で絶命させられる)」「ポリマー対ポリマー(同性能でようやく戦いが拮抗する)」と分かりやすく描かれている。

→また、「破裏拳流」を「回転を起点とした武術」という独自の解釈で描かれていて、裏拳を頻繁に取り入れた武術の型などは斬新でカッコいい。

→ちなみにバトル中の怪我がきちんと繁栄されており、終盤になるほど主要人物が顔にアザとか付けたままやり取りしたりする。

●程よく考えさせられるサスペンス要素

→本作の主題は「何者かによって強奪されたポリマースーツを奪還する」というもの。主犯は何者か、何の目的で使われているかなどを追うと同時に、毎回中身が変わる敵ポリマーとの戦いも見所。

●そこまでしつこくない人間ドラマ

→主人公と家族関係、またアウトローと新米刑事のじょじょに芽生えていく友情、新米刑事と同僚の恋物語など、定番ちゃ定番だがどれも本筋の邪魔をしない程度に描かれている。

 といった所でしょうか。アニメの豪快な暴れっぷり(一人で何十人もボコボコにし、敵メカも変身して追撃する)はさすがに拝めませんが、「一人の武術家が巻き込まれたハイテクスーツの争奪戦」として見れば、原作の格闘要素やスーツギミックをうまく取り入れたアクション映画だと思います。あとは夏のライダー映画の前にもう1本ライダー映画が見れると思えば……。

 と、熱っぽく勧めたはいいですが、残念ながら客入りはそんなに良くなく、見た劇場では来週から1日1回上映に変わるあたり、全国的にあとどれだけの劇場で見られるか定かではありませんが、もし気になってる方がいらっしゃればダッシュで見に行かれた方が良いでしょう。